「バース・トラウマ」が悩みの根っこ
人生に悩みはつきものです。
人生の悩みを大別すると、大体三つのジャンルに分かれます。それは、「人間関係」「仕事」、そして「健康」です。しかし、そのすべての悩みの根っこをたどると、たった一つの概念にたどりつきます。それは、「自分は宇宙から切り離されたひとりぼっちの存在だ」→「自分は愛されていない存在だ」という思いです。本来、人は宇宙との一体感を本当に感じることができるのであれば、一切悩みとは無縁なんです。
しかし、「宇宙と自分が一体だなんて、何を言ってるんだ。どこにそんな根拠があるのか」と疑う人もいるかもしれません。
ここに、愛の基盤である「母子の関係」を、宇宙と人間にまで広げながら説明している文章がありますので、まず紹介します。
ごく一般的な観点からいうなら、「愛」の原点は「母親」です。母親が様々な世話をしてくれること、ときに応じて惜しみない思いをかけてくれること、その場に応じてあらゆる願いを満たそうとしてくれること。それは「愛」そのものの表れであり、そんな母親との行き交いが重ねられる中で、子どもの心にも「愛」が息づき始めるのだとされます。
では、たとえばあなたの母に息づいていた「愛」は、いったいどこから来たのでしょう。
大きくは母の母、つまりは祖母からです。
それでは祖母に息づいていた「愛」は?
さらにその前の母からです。
「愛」ってそのようにして次から次へと受け継がれてきたものなんです。
さてそれでは、遠い遠い昔の、最初の人類となった「母」に息づいていた「愛」は、いったいどこから来たのでしょうね。
いうまでもありません。その前の、まだ人類にはなっていない母なる動物に息づいていた「愛」からです。
それでは、まだ動物になりきっていない母なる生物に息づいていた「愛」は、いったいどこから来たのでしょう。
その前の、動物だか植物だかでさえ判然としない生物に息づいていた「愛」にほかなりません。
だとしたら、まだ生物であるときさえ断定できない段階の何かに息づいていた「愛」は?大地と海からやてきた「愛」ですね。
では、大地と海に「愛」を注いだのは?太陽です。
最後に、太陽という私たちみんなの「愛」の源を生み出したのは?
宇宙!
すごいですね。「愛」とはつまり、宇宙のことだったのです。あなたの母も、母であるあなたも、または母となるあなたも、みんな宇宙の愛をわが子に注ぐ窓口だったのです。
「愛をこのように理解するのは、素敵ですね。心のことを大事に考え続けている人ならとっくに分かっていたことかもしれないけれど、たしかに「愛」とは宇宙そのもののことにほかならないのです。
宇宙は、太陽を生み、地球を生み、海と大地とを作り、あらゆる生命を育み、そして私たち人間を生み、あらゆる物事の営みの上で私たちを生かしてくれています。
すごいですね。「生かしてくれる力」こそが「愛」にほかなりません。(『あなたらしいあなたが一番いい』金盛浦子著)
「宇宙は愛である」なんて唐突に言われても、漠然としすぎて普通はなかなか「そうなのか」とは思えないものですが、このように解釈すると、人と宇宙の関係も受け入れやすいのではないでしょうか?
実は、この宇宙との一体感は、心理学という学問でも明らかになりつつある人間の意識の本質なのです。
心理学者ユングの学説によれば、人間の意識はいくつもの層をなし、日常的に感じたり考えたりしているのは、意識の表面にすぎず、その奥には無意識の層が膨大に広がっているといいます。しかも、人間の意識は一人ひとりが分離しているわけではなく、無意識の層では人類すべてがつながっていると考えました。これをユングは「集合的無意識」と呼んでいます。さらにユングは、つながっているのは人間だけでなく、無意識のもっと深い層では動物の意識ともつながっていると主張しています。
もし私たちが集合的無意識を共有しているとすれば、「私とあなたは別」というイメージは意識の表面層がとらえているだけにすぎず、もっと深いレベルでは、人間は宇宙(全体)と一体なのだ、ということになります。
では、もし本当に私たちが宇宙と一体であるのなら、なぜそのことを感じるのが難しいのでしょうか?あるいは、なぜそのことを忘れてしまったのでしょうか?
実はこの疑問こそが、悩みの根源を説く重要なポイントなんです。
人は誰でも母親のおなかから生まれます。おなかの赤ちゃんにはちゃんと意識があって、自分を包み込んでくれるお母さんと強い一体感を感じているといいます。陣痛が始まると、それまで自分を守ってくれていたあたたかな子宮が不意に自分をしめつけ始め、そのあと狭い産道を苦しみながら長い時間をかけて通過しなければなりません。しかも、やっと外に出て楽になったと思ったとたん、それまでずっと一体感を感じていたお母さんから引き離され、絆であったへその緒を切られてしまうのです。生まれるということが、意識を持つ赤ちゃんにとってどれほどショッキングな出来事かは、容易に想像がつくでしょう。
この、母親のおなかから生まれ、へその緒を切られたときに、個としての人生が始まったときに、人間の苦しみは始まります。
このときに味わう衝撃的な分離感を心理学的な側面から指摘したのが、フロイトの弟子のオットー・ランクという人で、彼はこの出生によるトラウマのことを「バース・トラウマ」と名づけました。実際、退行催眠療法によって出生時の記憶を遡ると、すさまじい恐怖と苦痛を感じたことを思い出す人がたくさんでてくるそうです。
出産時の記憶は母親との分離にとどまらず、宇宙そのものから切り離されたというセパレーション感覚がともないます。
なぜなら、赤ちゃんにとって母親は絶対的な存在で、宇宙そのものに匹敵するからです。そのため、母親とのセパレーション感覚はそのまま宇宙とのセパレーション感覚につながってしまうのです。(《「悩み」生き方のサイエンス》天外伺朗著)
悩みから完全に解放される人生などないと思いますが、同じような状況にあっても、このセパレーション感覚から自由になり、再び母親の胎内にいたような、自分を超えた大きな存在に包まれている平和と至福に満ち足りた状態を感じている人は、そうでない人と比べると、よりラクに自由に、人生という大海原をすいすい泳いでいけるようです。
この分離感という観点で考えると、生き方は大きく2つに分かれると思うのですが、一つは、「自分と他人は別だ」というセパレーション感覚から、常に人と競争して、世間の評価を気にしながら、達成目標を設定して、そこに向かって貪欲に戦っていく人生(今まではこれが主流でした)。
もう一つは、「自分は宇宙(全体)と一体である」という意識に切り替え、達成目標も立てず、競争もせず、ただ見えない流れに身を委ねるように生きていく人生。
どちらを選ぶかは人それぞれだと思いますが、私は後者の人生の方がラクそうで楽しそうで自由でいいなあと思って、そういうことが分かった以上、できればそちらの人生を歩んで、人にもお薦めしていきたいなあと日々思っています。
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